貧弱な男のアウトドア活動

約3分

僕のスマホの待ち受け画面は、滝にしてある。

 

 

本当は最初、アウトドア仲間との集合写真にするつもりだったが、みんなが勢揃いしたものは無いからそうしなかった。各々の休日がバラバラなので、全員が一緒に写るのは難しい。

アウトドアな記念写真は、部屋の押入れにいっぱいある。パソコンの中やクラウド、スマホにも。

友達といつも自然の中で遊んでいたわけでもないのに、千枚以上ある。それだけの歳月が経ったということだ。いつの間にか僕は、エアコンがガッツリ効いた部屋が好きな40代のおじさんになってしまった。

 

小中学生の頃、好きなものが3つあった。

ゲームと、本と、都会、 だった。

地方に住むひ弱な少年にありがちな好みだ。パソコンのゲームソフトを買った嬉しさのあまり、記念写真を撮るぐらいゲーム好きだった。

 

 

ランドセルを背負っていた頃は、近所の空き地や錆びた鍋が沈んでいる川で友達と遊んでいたが、気がついたらゲームにハマっていた。そんな僕が、GAKUTAME OUTDOORS(通称GOS)というアウトドア学習事業をするようになるなんて・・・。

5年前、この事業を始めるための準備をしていることを幼なじみに言ったら、爆笑されてしまった。『ゲームっ子Taka』の印象が彼にはまだ残っているようだ。

「僕が教えるわけじゃないよ。先生は自然。僕達が気に入ったところへガイドするってこと」

そう説明したら、妙に幼なじみは納得していた。

 

14年前に関西へ引っ越し、大阪市という都会にほぼ毎日行くようになった今、好きなものを3つあげるとしたら、エアコンと、本と、自然、 だろうか。

アスファルトにしるしをつけるみたいにしてチラチラと雪が降る日に、背中を丸めて小走りで帰宅する僕を、30分前から準備して暖かく出迎えてくれる・・・

エアコン。

鳥が車のボンネットに舞い降りたら、そのまま焼き鳥になってしまいそうな灼熱の日に、汗を拭きながら千鳥足で帰宅する僕を、30分前から準備して冷たく出迎えてくれる・・・

エアコン。

僕は髪のセットを忘れることはあっても、冷暖房のタイマーをセットすることは忘れない男だ。

 

10代半ばから30代は、自然の中を駆け抜けるとおこる風切り音が、好きだった。

 

 

友達とアウトドア遊びをしているときに聞こえる風切り音が、特に好きだった。

 

 

 

最近は、微かなせせらぎの音に包まれてうたた寝をするほうが好きになってきた気がする。そういえば、アウトドア活動中の休憩回数も増えた。

濃い霧のようなひんやりとした空気が流れてくる場所で、ゆっくりと深呼吸すると湿った土の匂いと葉の香りが体中に染み渡る、その感覚がたまらない。日常の喧騒を忘れる瞬間だ。

 

こんな風に僕の写真を並べると、

 

 

 

活発なアウトドアマンのように見えるかもしれない。

 

が、実際は貧弱な男だ。アウトドア遊びは、僕のような者でも楽しめるのがいい。

しかも家族や友達と。

 

僕は、これからもアウトドア仲間を増やして、自然の音景色を一緒に体験していきたいと思っている。

エアコン好きだけど。

Taka


Writer : GAKUTAME OUTDOORS Kansai(GOS)Organizer Takayuki.M

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